文秀「うーむ……」
解慕漱「人の執務中に押しかけてきて、何を一人で唸っているんだ」
文秀「いや、元述に贈る品が決まらなくてな」
解慕漱「む? まだ悩んでいたのか、仕方のない奴だ。普段あれだけ好き勝手しているというのに、肝心の相手が喜ぶ事すら思い浮かばないとは」
文秀「うるせーな。あいつは俺がしてやる事は何でもたいてい喜ぶんだよ。だからこういう時は逆に、何をしてやればいいのかわからん……」
解慕漱「それは惚気か? 自慢なのか?」
文秀「いーや、客観的に事実を述べたまでだね!」
解慕漱「嘘をつけ。確かに元述はお前を好いているから、大抵の事は受け入れてくれよう。しかしそれを良い事に無理強いしている部分があるのも事実ではないのか? まだ経験の浅い元述にあんな事までさせるのは、客観的に見てどうかと思うぞ」
文秀「ブホッ!! ……て、てめえ、客観的にって、やっぱり覗いてるんじゃねえか!」
解慕漱「……二度も引っかかるとはお前もまだまだだな」
文秀「またカマかけやがったのかこの野郎!」
解慕漱「元述が絡むと面白いなー、お前は」
文秀「人で遊ぶんじゃねえ!」
解慕漱「話を戻すが、何でも喜ぶなら逆に、何でもしてやれば良いではないか」
文秀「うーん……まあ、似たような事は既に考えて実践しているわけだが」
解慕漱「ほう?」
文秀「一日一度は思いついた事を元述に試して、反応を見ている」
解慕漱「…………まさか、牧場へ行って牛の尻尾に火をつけたりなぞしておるまいな?」
文秀「いつの話だよ!! 俺はガキか!?」
解慕漱「いやあ、懐かしいな。あの頃のお前ときたらとんだ悪がきだったよ」
文秀「別にいたずらを思いついているわけじゃなくてな! 今日は天気がいいから川原の土手で昼寝したら気持ちいいだろうなあとか、池に氷が張ったのを見に行ったりとか、パン屋の新作が出たという情報が入って一緒に試食しに行ったりとかだなあ、ここ一週間ばかり色々連れ回してみたんだが」
解慕漱「ほうほう。地道な努力は続けているというわけか」
文秀「まあな」
解慕漱「しかし、元述にとっても息抜きにはなろうが、護衛だと思い込んだままではあまり寛げないのではないか?」
文秀「そこら辺は抜かりねえよ。誘うときはきっぱりと私用だと宣言するようにしたからな! 訓練中に抜け出す事を渋れば、『都合が悪いなら阿志泰を誘うが』と言ってやれば一発だ」
解慕漱「……部下の確執を煽るような真似をしてどうする、お前という奴は」
文秀「うるせえな、この手だって諸刃の剣なんだからな。元述の機嫌が悪い時は『ではその様になさって下さい』って突き放されるんだぞ! それであてつけに阿志泰を連れて行ったりした日にゃ、三日はまともに話してもらえん!」
解慕漱「ははあ、それでつい先日までやたらと喫煙量が増えていたわけだな、苛々して。今は吸ってないところを見ると、仲直りしたようだが」
文秀「まあな。……ふっふっふ」
解慕漱「思い出し笑いをするな気持ち悪い。(どうやって機嫌を直したのやらこの男は……)また話が横道にそれただろう。――それで、試行錯誤の結果、元述の反応はどうなのだ?」
文秀「上々……と言いたいところだが、さっきも言った通り、嬉しそうにしているのはいつもの事なんだ。誕生日の贈り物としてはこう、今ひとつ決定打に欠けるような気がしてならん!!」
解慕漱「なるほどな。さて、参考になるかわからんが、今の話を聞いて気づいた点があるので、一つ意見させてもらうとしよう」
文秀「なんだ!? 何でも言ってくれ!」
解慕漱「ちゃんと仕事しろ」
文秀「う……そ、そうきたか……」
蛇足
viasxrsqs31236 Eメール URL 2010年12月29日(水)23時25分 編集・削除
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